2013年01月17日
第1回 DARA DA MONDEのこと
はじめまして。ライターの西川泰功と言います。今回から日刊いーしずに加わりました。2013年の1年間、お世話になる予定です。どうぞよろしくお願いします。
というか、明けまして、おめでとうございます。2013年、のはずですが、なんの感慨もない。というのも、これを書いているのは2012年12月6日。衆議院議員総選挙の候補者が開示され、選挙カーがウッホウッホとアピールしている最中なんです。うるさいです。もっとこう、耳にささやくような政治演説をしてほしいものです。例えばそう、朝のベッドの傍らで、優しくささやきかけてくる牧野聖修氏を想像してみてください。やめましょう。冗談を言っている場合ではない。
日本の社会状況はおそろしく後退しているように感じます。政治に無関心ではいられない時代に入っている。とはいえ、具体的な政治活動に積極的になれない気持ちも、正直なところ、あります。それは現行の政治システムへの不信感から来ていると思います。「おはよう、きらきらした世界」では、現実政治を取り上げるわけではありません。文化的トピック、しかも静岡のそれが中心になります。社会に少しだけ亀裂を走らせ、その底から世界を光らせる、そんな動きに注目していきたいと思っています。
今回は自己紹介もかねて、この話。2012年に発行を始めたこれ、知っています?
「DARA DA MONDE」。
表紙の写真は仮装パフォーマンスグループ「ノーマジーマモーテンテン」
正式名称を「静岡アート郷土史プロジェクト 芸術批評誌 DARA DA MONDE」と言います。「だらだもんで」と読みます。静岡市清水区にあるオルタナティブスペース・スノドカフェというところから発行していて、ぼくが編集代表をしているんです。発行目的は静岡の芸術活動を盛り上げること。アーティストのインタビュー、批評やエッセイ、また、小説や戯曲などの創作も掲載しています。
発行元のスノドカフェはオルタナティブスペースです。オルタナティブスペースは、アート関係の用語として知られています。美術館や文化会館のような権威的な鑑賞スペースとは違い、主に実験的な展示やパフォーマンスを目的とした場所のことです。オルタナティブ(英 alternative)は「既存のものに代わる/代替的」などと訳されますね。オルタナティブスペースは「既存の制度に代わる可能性を生み出す場所」くらいの意味で考えるとよいと思います。歴史的背景は以下のサイトの解説が参考になります。
◆artscape 現代美術用語辞典「オルタナティヴ・スペース」の項目
http://artscape.jp/dictionary/modern/1198274_1637.html
スノドカフェはカフェと言っていますが、通常のカフェではありません。普段はスノードールという名前のリサイクルブティックで、イベントなどが行われるときにお店の2階がオープンするんです。ここがスノドカフェ。けれど通常のオルタナティブスペースともちょっと違うと思います。開催されているのはアート関係の催しだけではないんです。「いけばなワークショップ」「戯曲を読む会」「ボジョレーヌーボについて語る会」「文章講座」など、さまざま。この土地にあった形を模索しながら、自然とこうなったのでしょう。生活の余白に生まれる学びの場が、人と人の関係をおだやかに結んでいます。以下から具体的なイベントについて知ることができますので、よかったら見てみてください。
◆ オルタナティブスペース・スノドカフェのサイト
http://www.sndcafe.net/
スノドカフェのオーナー・柚木康裕さんから声がかかったのは、2011年の初夏でした。「静岡で活動しているアーティストを扱う冊子をつくりたい」、最初はそういった相談だったと思います。そこから毎週のように柚木さんと打合せを重ねていき、DARA DA MONDEという雑誌の形をとることになりました。
イベント中のスノドカフェの様子
2011年というと、東日本大震災が起こった年です。3月に決定的な地震が起こり、柚木さんから話があったのが5月くらい。ぼくの想像では、こういった雑誌をつくろうと思い立った根本的な衝動に、地震のことが関係していたと思います。津波被害で一つの町がまるごと奪われてしまうといった光景が伝えられましたよね。あらゆるものが流され、なくなってしまう。そんな不安が心の底にひたひたと入って行った。東海地震の到来が予測される静岡で、これは全く他人ごとではありません。そこで、後世に伝えられることをしよう、という考えが表面に出てきたのだと思います。「静岡アート郷土史プロジェクト」という冠にはそういう意図があります。現在、第2号を作成中ですのでご期待ください。
次回以降は、編集の裏話をからめながら、日常的に感じていること、静岡のアート情報などを紹介していきます。では、今回はこのへんで。ごきげんよう。
というか、明けまして、おめでとうございます。2013年、のはずですが、なんの感慨もない。というのも、これを書いているのは2012年12月6日。衆議院議員総選挙の候補者が開示され、選挙カーがウッホウッホとアピールしている最中なんです。うるさいです。もっとこう、耳にささやくような政治演説をしてほしいものです。例えばそう、朝のベッドの傍らで、優しくささやきかけてくる牧野聖修氏を想像してみてください。やめましょう。冗談を言っている場合ではない。
日本の社会状況はおそろしく後退しているように感じます。政治に無関心ではいられない時代に入っている。とはいえ、具体的な政治活動に積極的になれない気持ちも、正直なところ、あります。それは現行の政治システムへの不信感から来ていると思います。「おはよう、きらきらした世界」では、現実政治を取り上げるわけではありません。文化的トピック、しかも静岡のそれが中心になります。社会に少しだけ亀裂を走らせ、その底から世界を光らせる、そんな動きに注目していきたいと思っています。
今回は自己紹介もかねて、この話。2012年に発行を始めたこれ、知っています?
「DARA DA MONDE」。
表紙の写真は仮装パフォーマンスグループ「ノーマジーマモーテンテン」
正式名称を「静岡アート郷土史プロジェクト 芸術批評誌 DARA DA MONDE」と言います。「だらだもんで」と読みます。静岡市清水区にあるオルタナティブスペース・スノドカフェというところから発行していて、ぼくが編集代表をしているんです。発行目的は静岡の芸術活動を盛り上げること。アーティストのインタビュー、批評やエッセイ、また、小説や戯曲などの創作も掲載しています。
発行元のスノドカフェはオルタナティブスペースです。オルタナティブスペースは、アート関係の用語として知られています。美術館や文化会館のような権威的な鑑賞スペースとは違い、主に実験的な展示やパフォーマンスを目的とした場所のことです。オルタナティブ(英 alternative)は「既存のものに代わる/代替的」などと訳されますね。オルタナティブスペースは「既存の制度に代わる可能性を生み出す場所」くらいの意味で考えるとよいと思います。歴史的背景は以下のサイトの解説が参考になります。
◆artscape 現代美術用語辞典「オルタナティヴ・スペース」の項目
http://artscape.jp/dictionary/modern/1198274_1637.html
スノドカフェはカフェと言っていますが、通常のカフェではありません。普段はスノードールという名前のリサイクルブティックで、イベントなどが行われるときにお店の2階がオープンするんです。ここがスノドカフェ。けれど通常のオルタナティブスペースともちょっと違うと思います。開催されているのはアート関係の催しだけではないんです。「いけばなワークショップ」「戯曲を読む会」「ボジョレーヌーボについて語る会」「文章講座」など、さまざま。この土地にあった形を模索しながら、自然とこうなったのでしょう。生活の余白に生まれる学びの場が、人と人の関係をおだやかに結んでいます。以下から具体的なイベントについて知ることができますので、よかったら見てみてください。
◆ オルタナティブスペース・スノドカフェのサイト
http://www.sndcafe.net/
スノドカフェのオーナー・柚木康裕さんから声がかかったのは、2011年の初夏でした。「静岡で活動しているアーティストを扱う冊子をつくりたい」、最初はそういった相談だったと思います。そこから毎週のように柚木さんと打合せを重ねていき、DARA DA MONDEという雑誌の形をとることになりました。
イベント中のスノドカフェの様子
2011年というと、東日本大震災が起こった年です。3月に決定的な地震が起こり、柚木さんから話があったのが5月くらい。ぼくの想像では、こういった雑誌をつくろうと思い立った根本的な衝動に、地震のことが関係していたと思います。津波被害で一つの町がまるごと奪われてしまうといった光景が伝えられましたよね。あらゆるものが流され、なくなってしまう。そんな不安が心の底にひたひたと入って行った。東海地震の到来が予測される静岡で、これは全く他人ごとではありません。そこで、後世に伝えられることをしよう、という考えが表面に出てきたのだと思います。「静岡アート郷土史プロジェクト」という冠にはそういう意図があります。現在、第2号を作成中ですのでご期待ください。
次回以降は、編集の裏話をからめながら、日常的に感じていること、静岡のアート情報などを紹介していきます。では、今回はこのへんで。ごきげんよう。
Posted by 日刊いーしず at 12:00